就業規則の不利益変更とは、就業規則の変更により労働者において権利の縮減が生じる場合を意味します。
つまり元々の就業規則と変更後を比較した場合に、労働者の主張する権利に何らかのマイナスが生じている場合が不利益変更、ということになります。

使用者と労働者の関係においては、労働者が経済的に弱者である場合が多いことから、使用者、つまり会社の側がその権利を用いて就業規則を変更し、例えば、残業についての規定や有休についての規定に変更を加えることが生じえます。

そこで労働契約法9条は労働者との合意無くして、規則の変更を禁止しています。
もっとも、会社としてもその経営状況にかんがみ、労働者に体相手賃金カットやリストラをせざるを得ない場合等は生じえます。
このような事態に陥った場合になお、規則の不利益変更をできない、ということにしてしまうと、結果として会社が倒産する、といった事態になりかねず、かえって労働者が働き場所を失う、ということになりかねません。

そこで労働契約法10条が9条の例外規定として定められ、労働条件の変更につき、労働契約法10条所定の要素を加味した上、「合理的なもの」であるといえれば、これを可能とする旨を規定しています。